幼なじみの隣で不器用な恋を
「悪い、歩くの速くて…。さっさと、あの場から立ち去った方がいいと思ったから。」
「あ、ありがとう…。眞紘くん、教室で女の子たちとお喋りしてたんじゃ……」
「あれは、女子が一方的に話してただけで俺は何も。ずっと聞き流してたし。」
「えっ…」
そうだったんだ…。
女の子たちが楽しそうに話し掛けてたから、眞紘くんも楽しく話をしてたのかと思ってたけど…
言われてみれば、眞紘くんの声は…聞こえてこなかった。
私の勝手な勘違いだったのか…。
あれ?
今、ホッとしてる…。
胸の中のモヤモヤが薄れていく。
たちこめていた霧が晴れていくように…。
「花奏の席を見たら、いつの間にか居なくなってたから、俺も帰ろうと思って女子たちから逃げるように教室を出た。んで、先輩に勧誘されてる花奏を見つけたんだよ。」
「そ、そっか…。なんだか、高校の部活勧誘って、結構…力が入ってるよね。」
苦笑いする私に、眞紘くんは少し眉をしかめた。