幼なじみの隣で不器用な恋を

「あの、花奏は…どんなこと話してたんですか?」


「引っ越してきたばかりの頃、家に遊びに来てくれたことが何度かあったんだけどね、庭で隠れんぼしたとか、リビングで一緒にお昼寝したとか、色々と話してくれたの。楽しそうな思い出の話なのに、花奏ちゃん…切なそうに話してたのが印象的だったな。」


そう言えば、そんなことがあったっけ…。


家具とか雑貨とか、部屋の雰囲気は変わってしまっていても、もともと眞紘くんが住んでた家だから、至るところに思い出が散りばめられてる。


懐かしさを感じると同時に、もうこの家には眞紘くんがいないんだ…っていう現実を改めて突きつけられて、寂しかったんだよね。


「それ以降も、たまに一緒にお食事とかショッピングとか行ったことあるんだけど、食べ物や洋服を見ると、この食べ物が好きだったとか、こういう洋服をよく着てた…って話していてね。いつも、切なげだった…。」


私、竹内さんにそんなに眞紘くんの話をしてたのか…。


あまり実感なかったから、恥ずかしい…。


火照っているかのような熱い顔をパタパタと手で仰いだ。


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