幼なじみの隣で不器用な恋を
「そ、そうみたい…。自分の中では、眞紘くんとの思い出を、竹内さんに色々と話した実感は無かったんだけど…」
「無意識?」
「うん、そんな感じに近いのかも。眞紘くんが隣の家に居なくなってから、どんな時も心の中で眞紘くんのことを考えてる私がいたから。」
自然に思い出話をしてしまうぐらい、眞紘くんでいっぱいだった。
「そっか…。“どんな時も”だなんて嬉しいな。だけど…」
私の頬に手を触れる眞紘くん。
その表情からは笑顔が消えていて、苦しげに眉を寄せていた。
「切ない顔して話してたってことは、いつも悲しい気持ちにさせてたんだろ?本当にごめんな…。」
「引っ越しは、お仕事の都合なんだから、眞紘くんは何も悪くな……」
「いや、そうじゃなくて。俺、引っ越した後に…花奏と連絡を取ろうと思ったら、手紙だって電話だって、いくらでも出来ただろ?だけど、俺は何もしなかったから。花奏は、一度…手紙をくれたのに。」
そう言えば……
私、中1の秋に一度だけ眞紘くんに手紙を出したんだっけ。