幼なじみの隣で不器用な恋を

新しい場所で中学生活をスタートさせた眞紘くんも、そろそろ周りの環境に慣れてきた頃かな…と思ったから。


眞紘くんのいない毎日を寂しく感じていた私は、少しでも彼の近況を聞けたら嬉しいなと期待を込めて手紙を書いたんだ。


だけど、何日経っても眞紘くんからの返事は来なくて。


忙しい日々を送っていて、手紙を書く余裕なんて無いのかな…?


それとも、迷惑だったのかな…?


もし後者だったら…と思うと気まずくて、二通目の手紙を書く勇気は出せなかった。


「ごめん。正直言うと、俺…引っ越した時に、花奏への気持ちを諦めようと思ったんだ。幼なじみ以上の関係になるのが無理なら、この場所に戻って来ることがないなら、断ち切った方がいいと思って…」


眞紘くんの瞳が切なげに揺れる。


「だから、部活に没頭して、毎日を忙しく過ごしてた。」


「そうだったんだね…」


「だけど、花奏のこと…考えないようにしなくちゃと思えば思うほど気になってる自分がいて、中1の秋に花奏から貰った手紙を読んだ時は、抑え込んでた気持ちが溢れた。やっぱり俺は花奏が好きで、諦めるなんて出来ないって、ハッキリと感じたよ。」


愛しそうに見つめられて、胸が熱くなった。


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