幼なじみの隣で不器用な恋を
「あれは、下心がありそうな感じだったけどな。」
「えっ?」
「とにかく、ああいうのはキッパリと断るか無視しとけばいいんだよ。」
「う、うん…。」
一応…断ろうとしてたんだけどな。
それにしても、眞紘くん…少し不機嫌そう?
先輩に対して“無視しろ”だなんて、ちょっと言い過ぎな気がするし…。
たくさんの女の子たちに話し掛けられてたから、疲れたのかな?
歩き出した私たち。
チラッと眞紘くんの横顔を見ると、やっぱりムッとしたような表情のままだ。
こういう時は、黙っていた方がいいのかな?
それとも、何か話した方がいい…?
どうしたらいいか頭の中で考えを巡らせていると、眞紘くんは私に視線を向けた。
「ああいう面倒なことに巻き込まれないようにするためにも、これからは俺と一緒に帰った方がいいんじゃねぇの…?」
「えっ…」
「どうせ、帰る方向は同じなんだし…。小学校の時も…そうしてただろ?」
ぎこちない言葉と照れくさそうな顔。
そんな眞紘くんに、私はコクンと頷いた。