幼なじみの隣で不器用な恋を
「あっ、そうそう!」
ローファーを履いて、家を出ようとドアを開けたタイミングで、お母さんは何か思い出したらしく、声を発する。
「花奏、学校が終わったら早めに帰って来てね!夕飯の買い物とか手伝ってもらいたいのよ。よろしくね…!」
「う、うん…。」
今日は入学式とホームルームしかないし、お昼頃には終わるみたいだから、そんなに遅くなることは無いんだけど…
「今日、何かあるの?」
「ええ。学校から帰って来た後に詳しく話すから、とりあえず…行ってらっしゃい!」
「…い、行って来ます。」
玄関先でお母さんに笑顔で見送られた私は、外に出た。
やけに、張りきってる感じだったなぁ…。
今日、何があるんだろう…?
お母さんたちの結婚記念日はまだ先だし、誰の誕生日ってわけでもない。
お父さんの昇進祝いは、先週やったばかりだし…。
うーん、謎だ。
疑問を抱きながら、首を傾げた。