幼なじみの隣で不器用な恋を
「そろそろ、ケーキ食べるか!」
「そうだね、食べよ?」
箱を開けると、“happy birthday”とチョコレートで書かれた苺のショートケーキのホールが姿を見せる。
眞紘くんが1と6の数字をかたどったロウソクを灯してくれた。
「改めて16歳の誕生日おめでとう、花奏。」
「ありがとう、眞紘くん!」
フウッと火を吹き消した後、ケーキを切り分ける。
食べた途端、空気のようなフンワリとしたスポンジに、甘過ぎない生クリームと甘酸っぱい苺が口いっぱいに広がった。
「やっぱり、ここのケーキは美味しいなぁ…。」
「花奏、すげぇ幸せそうな笑顔。」
「眞紘くんだって、幸せそうに笑ってるよ?」
「そりゃ、大好きな人の笑顔を見れば、幸せな気持ちになるに決まってんだろ?」
ドクンっ…。
甘く震える鼓動から生まれた熱が、顔に集まる。
茹でダコのようになってるであろう私の顔を、眞紘くんはとびきり優しい笑顔で見つめていた。