幼なじみの隣で不器用な恋を

「“こんな顔”って、お前…どんな顔してるのか分かっての発言?」


「う、うん…。一応、自分の顔は把握してるよ?」


当然…と言わんばかりに答える私に、眞紘くんは、お腹を抱えて笑う。


いきなり、眞紘くんにニヤケ顔を指摘されて動揺したとは言え、“気のせい”を理由にして誤魔化すのは、ちょっと無理があったかな…。


眞紘くんの変わらない優しさが嬉しくて、その気持ちが顔に出たこと…


素直に言ったところで、私の想いに気付かれる可能性は無いか…。


私、小さい頃から嬉しかった時は“嬉しい”って言葉にしてたし。


うぅ…。


もう一度、言い直したい…。


押し寄せる後悔の波に飲み込まれていると、眞紘くんは“ふう…”と一息ついた。


「俺、こんなに笑ったの…すげぇ久しぶり。」


「そ、そうなの…?」


「小学生以来だな。」


ということは、中学の時…思いっきり笑うことが無かったのかな?


引っ越し先で慣れないことも多かっただろうし、大変だったよね…きっと。


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