幼なじみの隣で不器用な恋を
アイツのショックを受けた顔は、今でも目に焼きついている。
それまで一度も見せたことないような、悲しい表情。
花奏を見ているだけで、胸が何かに掴まれたかのように苦しくなって、辛かった。
卒業式までの間、お互い…気まずくて殆ど会話をしてなかった気がする。
いつもみたいに花奏と喋りたい…。
笑顔を見たい…。
頭の中では、花奏のことばかり考えてた。
“幼なじみ”の枠に収まりきらない気持ち。
その想いが恋だと自覚したのは、卒業式まであと一週間…というタイミングだった。
多分…
それよりも前から、アイツのことが好きだったんだと思う。
でも、いつも花奏が傍にいることが当たり前の毎日だったから…
特別に意識したことなんてなかった。
花奏との距離が近すぎて、気付けなかったんだ。