幼なじみの隣で不器用な恋を
「こっちに着くの、意外と早かったじゃん。もっと遅くなると思ってた。」
「思ったより引き継ぎや片付けが早く終わったんだ。優秀なスタッフたちのおかげだよ。」
「ふーん、そうなんだ…。明日には出発するんだろ?」
「ああ。明日の午前の便だから朝は早めに出るよ。」
「…そっか。」
父さんの言葉に小さく頷いた。
俺の両親はデザイナーをしていて、二人とも大きなデザイン事務所で働いている。
3年前に引っ越したのも、父さんたちがデザイン事務所を移籍したのが理由だった。
そして、今回は…海外のデザイナーと共同の仕事をすることになり、数年間…海外で暮らすらしい。
両親と一緒に海外に行く選択肢もあったけど、俺は日本に残ることにした。
もちろん、それは…花奏に会いたいと思っていたからだ。
思いきって、両親に…こっちの高校を受験したいと話したら、あっさりOKしてくれた。
高校生でいきなり一人暮らしだなんて、反対されるかも…と思っていたから、少し意外だったけど。