幼なじみの隣で不器用な恋を
「私、今でも…隣の家の窓を見ると、眞紘くんが…ひょっこり顔を出しそうな気がしちゃうんだ…。」
窓の傍に私も移動する。
懐かしそうに、だけど…どこか寂しげな感じで窓の外を見つめる眞紘くんの横顔が目に映った。
きっと、あの家で過ごした色んな思い出が、頭の中で巡ってるんだろうな…。
「今さら、どうすることも出来ないのに…。」
「えっ…?」
「改めて思うよ。引っ越しなんて、したくなかった…って。ずっと、花奏の家の隣に住んでいたかった。」
「私も、引っ越して欲しくなかったよ…。」
中学生活だって、眞紘くんと一緒に過ごしたかった。
この窓のカーテンを開けて、隣の家の窓を見る度に、そんな気持ちが駆け巡っていたから。
「でも、眞紘くんは…ここに戻って来てくれた。私、嬉しいよ…とても。」
「花奏…」
「家は隣同士じゃなくなっちゃったけど、楽しい毎日は絶対に送っていけるよ…。だって、私たち…小さい頃から仲良しの幼なじみなんだから…。」
「……そうだな。」
柔らかく微笑む眞紘くん。
私も笑みを零した。