幼なじみの隣で不器用な恋を
「ありがとう、花奏。」
「そ、そんな…お礼を言われるようなことは何も言ってないから…。」
フルフルと首を横に振る。
顔が熱くなるのを感じていると、眞紘くんは何か思い出したかのように“あっ”という声を発した。
「そう言えば、もう一つ……花奏にお礼を言いたいことがあったんだ。」
「何…?」
不思議に思いながら首を傾げる。
眞紘くんは、着ているパーカーのポケットに手を入れると何かを握りしめた。
「これ、覚えてる?」
私の前に差し出された手がパッと開く。
それを見た途端、ドクン…と鼓動が波打った。
「もしかして、あの時に渡した…お守り?」
「…正解。」
眞紘くんは笑顔で頷く。
私は瞬きを繰り返しながら、お守りを見つめた。
卒業式の日。
眞紘くんとお別れする際に渡した贈り物の一つが、この手作りのお守りだ。
遠くに行っても、ずっとずっと元気に過ごして欲しい…という思いを込めて作ったんだよね…。