幼なじみの隣で不器用な恋を

「このお守りのおかげで、俺…大きなケガもしなかったし、病気になることもなく元気でいられた。だから、本当にありがと…。」


優しい言葉が胸を震わせる。


「持っててくれたんだね、それ…。」


「当たり前だろ?花奏が手作りしてくれた大事なお守りなんだから。いつも肌身はなさず持ってた。もちろん、あの時に貰ったシャーペンだって、今も大切に使ってる。」


駅前の文具店で買った青色のシャーペン。


眞紘くんの好きな色だったから、気に入ってくれたらいいな…と思っていたけど…


ずっと使ってくれてたんだ…。


目頭が熱くなると同時に、滲み出した視界。


そして、溢れた雫が頬をつたった。


「花奏…!?」


眞紘くんは、目を見開いて驚く。


「だっ、大丈夫…。ちょっと涙腺が緩んじゃっただけだから…。」


慌てて濡れた頬を拭ったけれど、次から次へと零れ落ちていく涙。


止めたいのに、止まらない。


< 62 / 302 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop