幼なじみの隣で不器用な恋を
「全然、見苦しくねぇよ。んじゃ、おやすみ。」
「お、おやすみ……。」
私は小さく手を振る。
眞紘くんが部屋から出て行った後、カアッと頬が熱くなるのを感じた。
手や頭、触れられちゃった…。
手なんて、小さい頃から繋いだりしたことあるのに、“好き”を意識した後だと、こんなにも反応が変わっちゃうんだな…。
慌ただしく鼓動を刻む胸に、そっと手をあてた。
そう言えば“おやすみ”って言葉、眞紘くんから久しぶりに聞いた…。
この窓を開けて眞紘くんとお喋りしてた夜は、一番最後が…必ず“おやすみ”の挨拶だったんだよね。
そして、二人で笑顔で手を振りながら言葉を交わしたっけ…。
あの頃を思い出して、胸がジワリと温かくなった。
やっぱり、この穏やかな雰囲気は…いいなぁ。
幼なじみだからこその特別な距離感。
眞紘くんと楽しい毎日を送れるなら、それで充分。
傍に居られるだけでいいんだ…。