幼なじみの隣で不器用な恋を
「澄んだ青空に、気持ちいい春風。ご飯が一層…美味しく感じる~!」
幸せそうな笑顔のなっちゃん。
確かに、その気持ち…分かるなぁ。
こんなに天気が良い日に、屋内でご飯を食べるのは勿体ないよね…。
そう思いながら、お弁当に入っていた卵焼きを食べようとした時…。
「卵焼き、美味そう…。」
隣の眞紘くんが呟く。
視線を向けると、キラキラした目で卵焼きを見ていた。
「そう言えば、眞紘くん…卵焼きが好きだったよね。良かったら、もう一切れあるから、どうぞ!」
「いいのか?」
「もちろん!」
「サンキュ、花奏。」
声を弾ませた眞紘くんは、私のお弁当箱から卵焼きを手でヒョイッと取ると、すぐに口に運んだ。
「フワッとして美味い…。花奏のおばさんの卵焼き、久々に食べたけど…やっぱり最高だ。」
眞紘くんの無邪気な笑顔、昔と変わらないな。
お母さんが作った卵焼き、喜んでもらえると私も嬉しい…。