幼なじみの隣で不器用な恋を
「あのっ、突然なんだけど……来週から眞紘くんにお弁当を作ってきてもいい…?」
「えっ…」
少し緊張して上擦ってしまった声が、周りの空気を震わせる。
眞紘くんは目を見開いた。
「ご、ごめんね…急に。家庭科部に入るからには、もっと料理を上達させたいんだ…。毎日のお弁当作りも料理が上手くなる一歩だと思って…。」
自然な感じの理由になったよね…。
シッカリと話せたことに、胸を撫で下ろしていると、眞紘くんはフッと笑った。
「それ、表向きな理由だろ?」
「えっ…」
「本当は、昼休みの時の会話で俺の食生活が心配になって、それで…提案してくれたんだよな?俺が気を遣って断らないように、わざわざ違う理由まで作って。」
ドクンッと心臓が跳ねる。
「ど、どうして分かったの…?」
「花奏は優しいから、なんとなく…そんな風に考えたんじゃないかと思ってさ。だって、普通…毎日の弁当作りなんて提案しないだろ。」
確かに、それもそうだよね…。