幼なじみの隣で不器用な恋を
「りょ、料理…!?」
思わぬ言葉に瞬きを繰り返す。
「ああ。自炊の方が経済的だから、苦手とは言えど、ある程度…料理は作れるようになっておきたいなと思って。花奏、協力してくれる?」
「もちろんだよ!今度…レクチャーするね!」
「おう、サンキュ!」
眞紘くんと一緒に料理だなんて、楽しそう…。
想像するだけで、心が軽やかに弾んだ。
「他に、私に力になれることがあったら何でも言ってね!」
「……何でも?」
コクンと頷くと、眞紘くんは私の手首を掴んで立ち止まった。
「眞紘くん…?」
何かを訴えるように揺れる瞳。
目を逸らせずにいると、私たちの間を春風が勢いよく吹き抜けた。
「あっ、悪い…。いきなり、掴んだりして。」
慌てて私の手を離す眞紘くん。
心なしか、顔が赤い。
「どうしたの?」
「いや、今のは…ナシ。」
眞紘くんは咳払いをするとクシャクシャと頭を掻いた。