幼なじみの隣で不器用な恋を
「もう、充分…俺の力になってくれてんじゃん、花奏は。」
「えっ?」
私、特に何もしてないのに…。
頭の中で疑問符を並べていると、眞紘くんは照れくさそうな笑みを浮かべた。
「俺、花奏と一緒に居るだけで、元気になれるから…。」
「ほ、本当に…?」
「ここで嘘ついて、どうすんだよ。」
苦笑いした眞紘くんは、私の頭をポンポンと撫でる。
触れられた場所から体中へと広がっていく熱。
赤く染まってるであろう頬を見られるのが恥ずかしくて、私は…再び歩き始めた眞紘くんの少し後ろを歩く。
大きく波打つ鼓動を感じながら、制服の胸元をキュッと握りしめた。
そんなにドキドキしちゃダメ…。
“好き”の気持ちを膨らませちゃダメ…。
頭を優しく撫でてくれたのも、さっきの舞い上がりそうなぐらい嬉しい言葉も、私が幼なじみだからだよ…。
他の理由なんてない。
恋愛対象外…なんだから。