幼なじみの隣で不器用な恋を
「実は、来週から……週に何回か花奏が俺に弁当を作ってきてくれることになったんだ…。だから、お礼に…と思ってさ。」
もちろん、単純に“花奏に会いたい”っていうのもあるけど。
「……なるほどな。それがニヤニヤ顔の原因か。」
「べっ、別にニヤけてなんかいねぇよ。」
「いや、頬…緩んでるじゃん。」
フッと笑う慶介から、ぎこちなく視線を逸らした。
ヤバい。
そんなに顔に出てんのか、俺…。
でも、それぐらい嬉しいことだから仕方ないか…。
花奏の作ってくれる弁当が、今から待ちきれないぐらい楽しみだし。
「手作り弁当か…。白石の作る菓子は美味しいから、弁当も美味いんだろうな。」
「………。」
その言葉に眉がピクリと上がる。
「慶介、お前…花奏の作った菓子、食べたことあんの?」
口から飛び出した声は、自分でも驚くぐらい低いものだった。