幼なじみの隣で不器用な恋を
「じゃあ、学校に行こっか!」
なっちゃんの言葉で歩き出した私たち。
「クラス、なっちゃんと矢口くんと一緒になれるといいなぁ…。」
「そうだよね…。私も花奏と同じクラスになりたい…!」
「中学の時は、俺ら…見事にバラバラに別れちまったもんな…。」
ほぼ満開の桜並木を、3人で賑やかに会話しながら進んで行く。
穏やかに吹き抜ける温かい春の風を、思いっきり吸い込んだ。
これから始まる高校生活、なっちゃんや矢口くんと楽しく送っていこう…。
眞紘くんへの初恋は、心の奥に…そっと秘めて。
「夏波、今日の持ち物って…筆記用具ぐらいだよな?他にあったっけ?」
「特に無いんじゃない?ねっ、花奏!」
「うん…。一応、何かメモれるようにノートも持って来たけど、筆記用具だけでいいと………あれっ?」
何気なくバッグを開けて中を見た私は、目を見開いた。
う、うそっ…。
筆記用具が無い…!