幼なじみの隣で不器用な恋を
「中学に入ってから、白石…菓子作りにハマってたみたいで、ときどき…家で作ってきたものを学校に持って来てたんだ。もちろん、俺だけじゃなくて夏波にも。」
「ふーん……」
花奏が作った菓子、俺は食べたことなんてねぇのに…。
転校しちまったから仕方ないとは言え、慶介の方が先に食べてるなんて、なんか…イライラする。
不満をくすぶらせていると、慶介は可笑しそうに笑った。
「……あからさまに不機嫌そうな顔して妬くなよ。」
「は!?そんな顔してねぇし!それに、別に慶介に妬いてなんか……」
「安心しろよ。俺、白石のことは友達以上に思ったことは一度もねぇから。じゃあな!」
「ちょ、おいっ…慶介!」
足早にケーキ屋から離れて行く慶介の後ろ姿を見ながら、クシャクシャと頭を掻いた。
なんだよ、今のセリフ。
花奏が好きだって、直接…口にしたわけじゃねぇのに、なんで見抜いてんだよ…アイツは。