幼なじみの隣で不器用な恋を
「言われてみれば、そうだね…。なんだか、照れくさいな…。」
花奏は、ほんのり頬を赤く染める。
「でも、眞紘くんが…私の食べ物の好き嫌いを知っててくれたこと、ビックリしたけど嬉しいかも…。」
そう言って柔らかく微笑む姿に、ドクン…と鼓動が大きく波打った。
その笑顔、可愛すぎだろ。
まともに見てると心臓が保たない…。
熱くなった顔を俯けると、さっき花奏が落とした本屋の袋が目に映った。
「花奏、袋…落としたまんまじゃん…。」
俺は、ぎこちない動きでしゃがむ。
落とした衝撃で袋から少し出てしまっている本。
それを見た俺は、拾う手をピタリと止めた。
料理本…。
しかも、タイトルには“お弁当レシピ”という文字が入っていた。
「花奏、これ……」
「あっ、えっと……お弁当に入れる料理のレパートリー、まだ殆どないから増やそうと思って。毎回、同じようなものだと飽きちゃうし…。」
それで、わざわざ本まで買いに行って来たのかよ…。