幼なじみの隣で不器用な恋を

おかしいな…。


ちゃんとバッグに入れたつもりだったのに…。


「花奏、どうしたの…?」


「ペンケース、家に置いてきたみたい…。まだ時間に余裕あるし、私…取りに行って来る!なっちゃんたちは、先に行ってて?私、後から追いつくから…。」


「えっ、花奏!?」


次の瞬間、私は来た道を引き返して走り出していた。


はぁ…。


持っていかなくてもいいノートは入ってるのに、肝心の筆記用具を忘れるなんて…。


入学式の朝から、何やってるのよ…私。


こんなことなら、家を出る前に、もう一度…忘れ物の確認しておけば良かった…。


何度も頭の中で後悔を繰り返しながら、桜並木を全力で駆け抜けていた時。





“ドンッ”


俯き加減で走っていた私は、前方から人が歩いて来ていたことに気付かず、勢いよくぶつかってしまった。


体当たりに近いような状態。


その衝撃で、相手も私もバランスを崩して転倒してしまった。



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