幼なじみの隣で不器用な恋を
「俺、花奏が作ったものなら、同じような弁当だったとしても飽きない気がするけどな…。」
本の入った袋を拾って立ち上がる。
手渡すと、花奏はフルフルと首を横に振った。
「いやいや、飽きるよ…!それに、同じようなものばかりだと栄養バランスも偏っちゃうから…。」
「でも、そんなの考えて作ったら…花奏がかなり大変じゃん。」
「眞紘くんが学校生活を元気に過ごせるための力になれるんだったら、大変さなんて感じないよ。」
その言葉と共に浮かべた笑顔は、俺の胸を熱く高鳴らせる。
次の瞬間、俺は花奏を包むように優しく抱きしめていた。
「ま、眞紘くん…!?」
「少しだけ、このまま。」
「えっ…」
戸惑いを含んだ声が耳に入ってくる。
そりゃそうだよな、突然…抱きしめたりしたら、驚くに決まってる。
そんなこと、分かってる。
でも、頭よりも先に体が勝手に動いたんだ。
自然に…。