幼なじみの隣で不器用な恋を

「そこじゃなくて、こっち。前髪。」


眞紘くんの手が私の前髪に触れる。


その瞬間、髪の毛から電流が走ってきたかのように心臓がドキッと跳ね上がった。


「あのっ、ありがとう…。自分でやるから大丈夫…。」


アタフタしながらバッグから小さな鏡を出した私は、前髪を調える。


鏡には少し顔が赤くなっている自分の姿が映っていた。


髪、ちょっと触れられただけなのに…。


こんなにドキドキしちゃうなんて…。


「花奏、なんだか顔が赤くねぇか?もしかして
、熱があるんじゃ……」


「えっ!?なっ…ないない!寒気もしないし、ダルさもないし、体調は至って普通だから。さっ、学校に行こ!」


元気なことをアピールした私は、少し俯くようにして早足で歩き出した。


うぅ…不覚。


身だしなみ、ちゃんと確認したはずだったのにな…。


全然、平常心になれてないじゃん…。


大きく波打つ鼓動も、頬に集まってくる熱も、早くおさまって…。


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