密星-mitsuboshi-

片側二車線の道路に
車の気配はない

遠目に見えるのは
あの時と変わらないコンビニの光

静まり返った深夜
頭上には変わらず
星が3つ並んでいた

鼻をとおる夜の空気は
冷たい冬の匂いがする

空を見ながらもう一度
胸いっぱいに吸い込んた冬の匂いと一緒に

ふわり
あなたが香った気がした

甘くて強いわがままな香り


思わず口元に小さな笑みが浮かぶ
同時にチクリと胸の奥が痛んだ

まだあなたのかけらが
私の中に残っているのか…

また小さく笑みが浮かび
冷たくなった手を
コートのポケットにしまった


< 1 / 70 >

この作品をシェア

pagetop