密星-mitsuboshi-
美加と早紀が飲み始めて40分ほど経った頃、店のドアが勢いよく開いて林田が息を切らしながらやってきた
「おっ!いらっしゃーい!!
やっと主役の登場だねっ
座って座って!」
店主が嬉しそうに林田を迎え、美加と早紀が待つテーブルへと案内した
「悪い!お待たせ」
林田は顔の前で両手のひらを合わせた
「お疲れっ!早く座って!」
そう言って美加はいつも通り、自分の隣の席に置いていた荷物をどかした
「林田君は生ビールでいいかい?」
湯気の出ているおしぼりを差し出しながら店主が笑いかけた
「うーん、そうだな
生の…大ジョッキで!」
早紀は林田が店主と話している隙を見ながら
「渡瀬さんの件まだ林田さんには
内緒にしておいて
同じ管理部だし、一応渡瀬さんに
聞いてからに」
そう美加に耳打ちした
美加は指でオーケーマークを作ってみせた
「今すぐドリンクと、
とっておきを持ってくるから
ちょっと待っててね!」
店主は林田の肩をポンっと叩くと調理場へ入っていった
「あ~腹減ったなー」
テーブルに並べられた料理を一瞥すると真ん中に置かれただし巻き玉子を手づかみで口に放り込んだ
「ちょっと!
ちゃんと箸で食べてよ!」
「悪い悪いっ。お腹空きすぎてさ
それから昨日はごめんなー急に予定
変えさせちゃって」
「それは大丈夫だけど
何の用だったの?」
美加は割り箸と取り皿を林田の前に置いた
「ちょっと断りづらい人から飲みに
誘われて」
「断りづらい人?誰?
あ、合コンでつかまえた女の子?」
美加はニヤリと笑いながら隣の林田を肘でつっついた
「誰だよ合コンの女って…
違うよ、お世話になってる上司」
「あぁ…薮原さん」
早紀は反射的に名前を口に出したが
出した瞬間にまずいことに気がつき口をつぐんだが遅かった
「あれ間野何で知ってんの?
言ったっけ?」
そう、昨夜の林田の飲みの相手が誰かを教えてくれたのは渡瀬だった
「あー、うん
聞いた気がしたけど」
早紀は笑顔を作り、目の前にあったから揚げを無理矢理頬張った
「おまたせー♪」
調度いいタイミングで店主が右手に大ジョッキ、左手にロウソクを立てたショートケーキを持ってテーブルへやってきた
28本のロウソクにはオレンジ色の火がともり、たくさんのフルーツがキレイに飾ってある
そしてケーキの真ん中にはチョコ文字で
“林田くん おめでとう”と書かれていた
「すげー!
もしかしてマスターの手作り?」
林田はテーブルの中央に置かれたケーキに身を乗り出して見ている
「特別だよっ♪」
店主は小声でそう言うと3人に向かってパチリと片目を閉じてまた調理場に戻っていった
思いもよらないステキなケーキの出現に、美加も早紀も林田も子供のようにはしゃいでいた
『誕生日おめでとう!!』
美加と早紀が声を合わせ、盛大に手を叩いた
林田は少しテレながらも、揺れるロウソクの火を一気に吹き消した
店主もカウンターの中から手を叩いて、
その場に居合わせた他の客達も、それぞれ手を叩いたり、おめでとう!と声をかけたり、指笛を吹いたりと
店中で盛り上がる声が響いた
林田はさらにテレながらその場に立ち、店内中ぐるっと見渡した
「なんかすいません、いいトシなのに」
と頭を掻いて
「本当ありがとうございます!
飲みます!」
そう言うとその場で、生ビール大ジョッキを一気で飲み干した
飲み終わるとまたそこで店内は盛大に湧きあがった
美加と早紀はそんな林田をみて大笑いしている
「あー、大ジョッキ一気は
なかなかこたえるねー」
イスに座り両のこめかみをおさえる林田を見ながら、美加は早紀に目配せをした
早紀もそれを受けて、林田の目の前に例の紙袋を差し出した
「林田、おめでとう
私と間野ちゃんから」
「林田さんおめでとう!
中身は知ってると思うけど♪」
差し出された紙袋から包装された箱を出し、林田はそれを丁寧に剥がして中身を見た
「やったー!!ほんっとに水歌だ!
マジで2人ともありがとう!
知ってても超ーうれしいわこれ」
と子供のように喜んだ
美加と早紀は目を合わせ、嬉しそうに笑いあった
「おっ!いらっしゃーい!!
やっと主役の登場だねっ
座って座って!」
店主が嬉しそうに林田を迎え、美加と早紀が待つテーブルへと案内した
「悪い!お待たせ」
林田は顔の前で両手のひらを合わせた
「お疲れっ!早く座って!」
そう言って美加はいつも通り、自分の隣の席に置いていた荷物をどかした
「林田君は生ビールでいいかい?」
湯気の出ているおしぼりを差し出しながら店主が笑いかけた
「うーん、そうだな
生の…大ジョッキで!」
早紀は林田が店主と話している隙を見ながら
「渡瀬さんの件まだ林田さんには
内緒にしておいて
同じ管理部だし、一応渡瀬さんに
聞いてからに」
そう美加に耳打ちした
美加は指でオーケーマークを作ってみせた
「今すぐドリンクと、
とっておきを持ってくるから
ちょっと待っててね!」
店主は林田の肩をポンっと叩くと調理場へ入っていった
「あ~腹減ったなー」
テーブルに並べられた料理を一瞥すると真ん中に置かれただし巻き玉子を手づかみで口に放り込んだ
「ちょっと!
ちゃんと箸で食べてよ!」
「悪い悪いっ。お腹空きすぎてさ
それから昨日はごめんなー急に予定
変えさせちゃって」
「それは大丈夫だけど
何の用だったの?」
美加は割り箸と取り皿を林田の前に置いた
「ちょっと断りづらい人から飲みに
誘われて」
「断りづらい人?誰?
あ、合コンでつかまえた女の子?」
美加はニヤリと笑いながら隣の林田を肘でつっついた
「誰だよ合コンの女って…
違うよ、お世話になってる上司」
「あぁ…薮原さん」
早紀は反射的に名前を口に出したが
出した瞬間にまずいことに気がつき口をつぐんだが遅かった
「あれ間野何で知ってんの?
言ったっけ?」
そう、昨夜の林田の飲みの相手が誰かを教えてくれたのは渡瀬だった
「あー、うん
聞いた気がしたけど」
早紀は笑顔を作り、目の前にあったから揚げを無理矢理頬張った
「おまたせー♪」
調度いいタイミングで店主が右手に大ジョッキ、左手にロウソクを立てたショートケーキを持ってテーブルへやってきた
28本のロウソクにはオレンジ色の火がともり、たくさんのフルーツがキレイに飾ってある
そしてケーキの真ん中にはチョコ文字で
“林田くん おめでとう”と書かれていた
「すげー!
もしかしてマスターの手作り?」
林田はテーブルの中央に置かれたケーキに身を乗り出して見ている
「特別だよっ♪」
店主は小声でそう言うと3人に向かってパチリと片目を閉じてまた調理場に戻っていった
思いもよらないステキなケーキの出現に、美加も早紀も林田も子供のようにはしゃいでいた
『誕生日おめでとう!!』
美加と早紀が声を合わせ、盛大に手を叩いた
林田は少しテレながらも、揺れるロウソクの火を一気に吹き消した
店主もカウンターの中から手を叩いて、
その場に居合わせた他の客達も、それぞれ手を叩いたり、おめでとう!と声をかけたり、指笛を吹いたりと
店中で盛り上がる声が響いた
林田はさらにテレながらその場に立ち、店内中ぐるっと見渡した
「なんかすいません、いいトシなのに」
と頭を掻いて
「本当ありがとうございます!
飲みます!」
そう言うとその場で、生ビール大ジョッキを一気で飲み干した
飲み終わるとまたそこで店内は盛大に湧きあがった
美加と早紀はそんな林田をみて大笑いしている
「あー、大ジョッキ一気は
なかなかこたえるねー」
イスに座り両のこめかみをおさえる林田を見ながら、美加は早紀に目配せをした
早紀もそれを受けて、林田の目の前に例の紙袋を差し出した
「林田、おめでとう
私と間野ちゃんから」
「林田さんおめでとう!
中身は知ってると思うけど♪」
差し出された紙袋から包装された箱を出し、林田はそれを丁寧に剥がして中身を見た
「やったー!!ほんっとに水歌だ!
マジで2人ともありがとう!
知ってても超ーうれしいわこれ」
と子供のように喜んだ
美加と早紀は目を合わせ、嬉しそうに笑いあった