密星-mitsuboshi-
林田は水歌の瓶を手に取り、
それは嬉しそうに上から下から斜めからと回し見て
「…せっかくだから週末課長の家に
行く時に持ってって一緒に飲も
うかな♪」
鼻歌交じりに独り言を言った
単に思いついて言ったことなのだろうが美加と早紀は聞き逃さなかった
「課長の家で飲みがあるの?」
早紀はウキウキしてる林田に問いかけた
「ん?…おぉ♪
課長が釣りに行くから釣った魚を
さばいてつまみにしなから飲むの」
早紀は渡瀬が釣りをすることを初めて知った
考えてみれば渡瀬のプライベートは知らないことだらけ
でも今ひとつ知って少しだけ嬉しい気持ちになった
「へー、自分でさばくんだ〜
すごいね。
林田と渡瀬さん2人で飲むの?」
美加は取り分けたケーキの上にデコられたフルーツのイチゴを口に入れた
「いや、今回は全部で6〜7人くらい」
「7人?!
男ばっかり7人で宅飲みって…」
美加も早紀も、部屋にあの管理部の社員が6人も7人も集まり飲み会をしているところを想像して顔をしかめた
「男ばっかりじゃないよ。
さすがにそれナイナイ」
林田もおかわりのビールを飲みながら手をヒラヒラと降った
「いつもは課長の釣った魚を
つまみにして、それこそ男同士
2〜3人の宅飲みなんだけど
今回はファイナンス部の女の子が
くるらしい」
『何で?!』
美加と早紀はおもわず声が揃う
「ハモんなよー
なんか管理部に独り身が多いから?
らしいから篠山課長が連れてくんの
俺は美味しい酒と魚があれば別に
何でもいいしね」
「篠山・・・課長?
篠山常務じゃなくて?」
早紀は思い当たる苗字と役職が一致せず首を傾げた
「あれ?知らない?
ファイナンス部の課長で篠山常務
の娘だよ」
「え、ちょっとまって!
ファイナンス部の女課長、
篠山里緒?
彼女、篠山常務の娘なの?!」
美加は驚いてフォークをくわえながら目を丸くした
「そうだよ?
俺がファイナンス部にいた時の
先輩で、一緒に仕事してた」
「でもなんで…その篠山課長が一緒
に飲むの?
元ファイナンス部のよしみで?」
早紀は、その篠山課長という人物が女性で、なおかつ女性を連れてくると聞いて内心気が気じゃなかった
「うーん、部下に世話焼きじゃない?
課の女の子紹介する的な?
自分はもう必要ないからね」
「必要ない?
あぁもう相手がいるってことね。
でも彼氏いるのに他の男の家に上
がって飲みなんてアリなの?」
美加は少しイラっとした声で唐揚げに箸をさした
「他の男ってお前なぁ…。
篠山課長の彼氏は、渡瀬課長だよ」
『!!!』
ガチャーン
早紀はグラスを持っていた手から一気に力が抜けその場に落としてしまった
林田の衝撃発言は言うまでもなく早紀の心に激震を走らせた
「や、ヤダ間野ちゃんってば手を
滑らすなんて酔った??」
美加は早紀の放心を察して慌てて取り繕うようにグラスの破片を拾おうとしたが
音に駆け付けた店主がそれを止めた
「2人ともケガはない?!
俺が片付けるから大丈夫だよ!」
店主はほうきとチリトリでさっと片付けると、すぐに代わりのウーロンハイとおしぼりをもって来た
美加は店主からおしぼりを受け取ると早紀の手に持たせ、林田に分からないように早紀の手を握った
「なんだよ大丈夫か?
そんなに驚いた?
社内じゃ結構有名だけどなー」
林田はきょとんとしている
早紀は平静を装うことに必死だった
新しいウーロンハイを一気飲みしてから林田に聞いた
「林田さん!
篠山課長ってどんな人?」
「どんなって…
ちょっとキツい性格だけど、
親の七光なんて噂も立たないくら
い本当に仕事できる人
まあ俺とそんなに年齢変わらない
のに課長だからね
今日も昼に、今月の目標数字達成
しそうだって言ってたし」
「昼?」
「うん、今日昼飯の時渡瀬さんと
課の先輩と食べに行こうとしたら
偶然会社の前で合って
一緒に食べ行ったの」
早紀は今日のお昼に公園で見たことを思い出した
渡瀬と林田に管理部の社員
そしてもう一人、
確かに渡瀬の隣を歩いていた女性がいた
まさにそれが
ファイナンス部課長篠山里緒だった
「私お昼に林田さんたち見かけた
会社の裏通り歩いてたよね?」
「そうそう!本当はラーメン屋に行
こうとしてたんだけど
篠山さんきちゃったから
急きょ蕎麦屋になったんだよ
あの会社の裏の信濃蕎麦」
早紀はいきなり知ってしまった事実があまりも多く眩暈がした
美加は先ほどまで幸せだと笑っていた早紀
の気持ちを思うとこの衝撃の事実に心が痛んだ
それは嬉しそうに上から下から斜めからと回し見て
「…せっかくだから週末課長の家に
行く時に持ってって一緒に飲も
うかな♪」
鼻歌交じりに独り言を言った
単に思いついて言ったことなのだろうが美加と早紀は聞き逃さなかった
「課長の家で飲みがあるの?」
早紀はウキウキしてる林田に問いかけた
「ん?…おぉ♪
課長が釣りに行くから釣った魚を
さばいてつまみにしなから飲むの」
早紀は渡瀬が釣りをすることを初めて知った
考えてみれば渡瀬のプライベートは知らないことだらけ
でも今ひとつ知って少しだけ嬉しい気持ちになった
「へー、自分でさばくんだ〜
すごいね。
林田と渡瀬さん2人で飲むの?」
美加は取り分けたケーキの上にデコられたフルーツのイチゴを口に入れた
「いや、今回は全部で6〜7人くらい」
「7人?!
男ばっかり7人で宅飲みって…」
美加も早紀も、部屋にあの管理部の社員が6人も7人も集まり飲み会をしているところを想像して顔をしかめた
「男ばっかりじゃないよ。
さすがにそれナイナイ」
林田もおかわりのビールを飲みながら手をヒラヒラと降った
「いつもは課長の釣った魚を
つまみにして、それこそ男同士
2〜3人の宅飲みなんだけど
今回はファイナンス部の女の子が
くるらしい」
『何で?!』
美加と早紀はおもわず声が揃う
「ハモんなよー
なんか管理部に独り身が多いから?
らしいから篠山課長が連れてくんの
俺は美味しい酒と魚があれば別に
何でもいいしね」
「篠山・・・課長?
篠山常務じゃなくて?」
早紀は思い当たる苗字と役職が一致せず首を傾げた
「あれ?知らない?
ファイナンス部の課長で篠山常務
の娘だよ」
「え、ちょっとまって!
ファイナンス部の女課長、
篠山里緒?
彼女、篠山常務の娘なの?!」
美加は驚いてフォークをくわえながら目を丸くした
「そうだよ?
俺がファイナンス部にいた時の
先輩で、一緒に仕事してた」
「でもなんで…その篠山課長が一緒
に飲むの?
元ファイナンス部のよしみで?」
早紀は、その篠山課長という人物が女性で、なおかつ女性を連れてくると聞いて内心気が気じゃなかった
「うーん、部下に世話焼きじゃない?
課の女の子紹介する的な?
自分はもう必要ないからね」
「必要ない?
あぁもう相手がいるってことね。
でも彼氏いるのに他の男の家に上
がって飲みなんてアリなの?」
美加は少しイラっとした声で唐揚げに箸をさした
「他の男ってお前なぁ…。
篠山課長の彼氏は、渡瀬課長だよ」
『!!!』
ガチャーン
早紀はグラスを持っていた手から一気に力が抜けその場に落としてしまった
林田の衝撃発言は言うまでもなく早紀の心に激震を走らせた
「や、ヤダ間野ちゃんってば手を
滑らすなんて酔った??」
美加は早紀の放心を察して慌てて取り繕うようにグラスの破片を拾おうとしたが
音に駆け付けた店主がそれを止めた
「2人ともケガはない?!
俺が片付けるから大丈夫だよ!」
店主はほうきとチリトリでさっと片付けると、すぐに代わりのウーロンハイとおしぼりをもって来た
美加は店主からおしぼりを受け取ると早紀の手に持たせ、林田に分からないように早紀の手を握った
「なんだよ大丈夫か?
そんなに驚いた?
社内じゃ結構有名だけどなー」
林田はきょとんとしている
早紀は平静を装うことに必死だった
新しいウーロンハイを一気飲みしてから林田に聞いた
「林田さん!
篠山課長ってどんな人?」
「どんなって…
ちょっとキツい性格だけど、
親の七光なんて噂も立たないくら
い本当に仕事できる人
まあ俺とそんなに年齢変わらない
のに課長だからね
今日も昼に、今月の目標数字達成
しそうだって言ってたし」
「昼?」
「うん、今日昼飯の時渡瀬さんと
課の先輩と食べに行こうとしたら
偶然会社の前で合って
一緒に食べ行ったの」
早紀は今日のお昼に公園で見たことを思い出した
渡瀬と林田に管理部の社員
そしてもう一人、
確かに渡瀬の隣を歩いていた女性がいた
まさにそれが
ファイナンス部課長篠山里緒だった
「私お昼に林田さんたち見かけた
会社の裏通り歩いてたよね?」
「そうそう!本当はラーメン屋に行
こうとしてたんだけど
篠山さんきちゃったから
急きょ蕎麦屋になったんだよ
あの会社の裏の信濃蕎麦」
早紀はいきなり知ってしまった事実があまりも多く眩暈がした
美加は先ほどまで幸せだと笑っていた早紀
の気持ちを思うとこの衝撃の事実に心が痛んだ