密星-mitsuboshi-
そこには篠山里緒の人となりやこれまでの経歴、社内での実績・記録、インタビューが書かれていた
「私興味なくて全然読んでなかった
んだけど、
この人、出てる学校お嬢様学校
なのね〜。
まぁ前に元々篠山常務は資産家の
家系ってゆうのは聞いたことあった
けど…
ここ読んでみて」
美加はそう言って、学歴とインタビュー内容を書いた箇所を指差した
“私は父のように自分の実力で役職を得て女性にとってさらにやりがいのある職場や会社作りに貢献したいというのがかねてからの夢でした。
父の背中を見ながら夢へと邁進したいと思い敢えて同じ会社へ入社しました。
今回得た役職はその夢への一歩にすぎません…”
「実力ねぇ…。
逆に自分の父親のいない会社に
就職してから同じこと言ったら
説得力あるのに…」
美加はその内容に苦笑いした
記載された学歴を見ると、卒業した学校は小中高一貫のお嬢様学校
大学も私立女子大学の中では3番以内に入る大学名が書いてあった
「でも、確かに実績記録欄に書い
てある内容はすごいかも…」
早紀は全ての文書に目を通して静かに冊子を閉じた
「確か林田も、
親の七光りなんて言われないほど
仕事ができるとかなんとか言って
たっけ…」
美加が頬杖をついたとき、バイブ音が聞こえてきた
2人同時にバッグの中を探して取り出すと、鳴っていたのは美加のスマホだった
「あっ。堤さんだ。
…もしもし!お疲れ様でーす」
早紀も出したついでにスマホの画面を見るとメールが1件きていた
開いてみると
それは渡瀬からだった
『21時
東京駅の乗り換え階段前の改札』
内容はこの一行
だが早紀にはよく分かる待ち合わせ場所だった
早紀は画面を閉じ、目の前に置かれた社報をもう一度手に取った
月に一度発行される社報は、各部署の人数分配られるのだが
審査部課長の吉田は、社報が届くと自分のデスクの横に置いておき
欲しい人がそこから取っていくというスタイルのため
興味のない早紀は社報を見る機会が少なかった
「…はーい、わかりました。
失礼します」
通話を終えた美加はカフェラテを飲み干した
「間野ちゃん
堤さんって知ってるでしょ?」
「堤さんて、
システム部の堤 千秋さん?
直接会ったことないけど
パソコンおかしくなった時とか
システム部に内線するとだいたい
対応してくれる人だよね?」
「そぉそぉ。
私の2年上の先輩でけっこう
仲良しで
今日ご飯の約束してるの。
実は間野ちゃんもって思ってた
んだけど、渡瀬さんと待ち合わせ
なら仕方ないかぁ」
「いつも優しく対応してくれるから
どんな人だろうて思ってた。
今度ご飯食べる時は誘って!
私も行きたい」
「うん、
堤さんにもよろしく伝えるね
もうそろそろ行かないと」
美加は腕時計を見るとトレンチコートを羽織った
「間野ちゃん、
もし何かあったら何時でもいい
から連絡してね?」
真剣な顔でそう言うと、美加は立ち上がった
「うん、ありがとう」
早紀が笑ってみせると、美加は早紀の肩に手を置いて店を後にした
美加が店を出た後で
テーブルの上に置かれたままの社報に気づき
早紀はとりあえず自身のバッグの中にしまった
「私興味なくて全然読んでなかった
んだけど、
この人、出てる学校お嬢様学校
なのね〜。
まぁ前に元々篠山常務は資産家の
家系ってゆうのは聞いたことあった
けど…
ここ読んでみて」
美加はそう言って、学歴とインタビュー内容を書いた箇所を指差した
“私は父のように自分の実力で役職を得て女性にとってさらにやりがいのある職場や会社作りに貢献したいというのがかねてからの夢でした。
父の背中を見ながら夢へと邁進したいと思い敢えて同じ会社へ入社しました。
今回得た役職はその夢への一歩にすぎません…”
「実力ねぇ…。
逆に自分の父親のいない会社に
就職してから同じこと言ったら
説得力あるのに…」
美加はその内容に苦笑いした
記載された学歴を見ると、卒業した学校は小中高一貫のお嬢様学校
大学も私立女子大学の中では3番以内に入る大学名が書いてあった
「でも、確かに実績記録欄に書い
てある内容はすごいかも…」
早紀は全ての文書に目を通して静かに冊子を閉じた
「確か林田も、
親の七光りなんて言われないほど
仕事ができるとかなんとか言って
たっけ…」
美加が頬杖をついたとき、バイブ音が聞こえてきた
2人同時にバッグの中を探して取り出すと、鳴っていたのは美加のスマホだった
「あっ。堤さんだ。
…もしもし!お疲れ様でーす」
早紀も出したついでにスマホの画面を見るとメールが1件きていた
開いてみると
それは渡瀬からだった
『21時
東京駅の乗り換え階段前の改札』
内容はこの一行
だが早紀にはよく分かる待ち合わせ場所だった
早紀は画面を閉じ、目の前に置かれた社報をもう一度手に取った
月に一度発行される社報は、各部署の人数分配られるのだが
審査部課長の吉田は、社報が届くと自分のデスクの横に置いておき
欲しい人がそこから取っていくというスタイルのため
興味のない早紀は社報を見る機会が少なかった
「…はーい、わかりました。
失礼します」
通話を終えた美加はカフェラテを飲み干した
「間野ちゃん
堤さんって知ってるでしょ?」
「堤さんて、
システム部の堤 千秋さん?
直接会ったことないけど
パソコンおかしくなった時とか
システム部に内線するとだいたい
対応してくれる人だよね?」
「そぉそぉ。
私の2年上の先輩でけっこう
仲良しで
今日ご飯の約束してるの。
実は間野ちゃんもって思ってた
んだけど、渡瀬さんと待ち合わせ
なら仕方ないかぁ」
「いつも優しく対応してくれるから
どんな人だろうて思ってた。
今度ご飯食べる時は誘って!
私も行きたい」
「うん、
堤さんにもよろしく伝えるね
もうそろそろ行かないと」
美加は腕時計を見るとトレンチコートを羽織った
「間野ちゃん、
もし何かあったら何時でもいい
から連絡してね?」
真剣な顔でそう言うと、美加は立ち上がった
「うん、ありがとう」
早紀が笑ってみせると、美加は早紀の肩に手を置いて店を後にした
美加が店を出た後で
テーブルの上に置かれたままの社報に気づき
早紀はとりあえず自身のバッグの中にしまった