峭峻記
『巧妙な手口で証拠を残さず悪事を行う。朝廷はそういう連中が我が物顔で闊歩している。野放しにはできない。例えそれが、罪になるとしても誰かがやらなければならないことがある。琥蓮は正義などではない。やっていることは、人殺しという汚れ仕事だからな。我々は悪人だ。でも、その悪で救えるものがあるなら、その悪は義となろう。····自分が正しいと思う志を貫け。』

この琥蓮を作った初代頭領は、そう言った。

『龍白雲武』。

龍白雲武は、龍白と呼ばれた文人の説いた思想による武士道が綴られている。彼自身の伝記。

武人はどうあるべきか。
武とは、何故にあるべきものか
真に人が持つべき義とは
その他もろもろ

数ある思想書の中でも、龍白雲武は奏国では、疎んじられた思想であるのと、四書五経といった名書たちに埋もれてしまい、世にあまり知られていない。
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