峭峻記
朱雅は、蘇芳の口の中のゴミ菓子を取り出す。
気絶するほどの味とは。
一体、どんな味なのか。
蘇芳の噛んだ菓子の中から緑色のドロリとした液が滲み出している。
その液から、桃に似た強い香りがした。
朱雅は眉をひそめた。
「もしや、緑桃樹(りょくとうじゅ)か?···とんでもないもの食わせてしまったな····というか私になんてものを食わせようとしたんだ、あの馬鹿(櫂鉉)」
ふと、腕の中の蘇芳を見る。青ざめてぐったりしている。
緑桃樹は、漢方薬の一種で、男性の強力な性欲増強を促す精力剤。
別名『忘我絶倫』
薬に使うのは幹の皮を干し燻したもの。それを煎じて飲むが、けっこう強烈なえげつない味がする。しかし、効果は高い。
緑桃樹は木から緑色の液が取れ、それが桃に似た香りがすることから、そう呼ばれる。
その液をそのまま飲むということは、聞いたことがない。燻した幹の皮でさえ、強烈な味がするのだ。原液なんて間違っても口にはしない。
しかし、蘇芳が食べてしまったこれは。
「おそらく、原液。しかも生。」
食わなくてよかった。と安堵しつつ蘇芳をみる。自分が仕掛けたことだが、なんだか気の毒になり申し訳なくなってしまった。
緑桃樹は、女性が食べるものじゃない。
忘我絶倫の名からも察しがつくように、立たぬ男が立つために食う代物。
男でもよほどのものでなければ、使わない
そして女性にとっては、何の得にもならないただくそ不味いだけの食い物だ。
付け加えて、蘇芳にはかなりキツい代物だろう。
何せ、蘇芳は鼻が利きすぎるのだ。
それこそ、動物並の嗅覚があるらしく、毒の臭気に敏感に反応する。
ある意味、使えるが、それが弱点でもある。
「災難だったな、蘇芳。お前には、緑桃樹の強い香りは毒。不味い上に急所を直撃されて気絶したわけか。」
気絶するほどの味とは。
一体、どんな味なのか。
蘇芳の噛んだ菓子の中から緑色のドロリとした液が滲み出している。
その液から、桃に似た強い香りがした。
朱雅は眉をひそめた。
「もしや、緑桃樹(りょくとうじゅ)か?···とんでもないもの食わせてしまったな····というか私になんてものを食わせようとしたんだ、あの馬鹿(櫂鉉)」
ふと、腕の中の蘇芳を見る。青ざめてぐったりしている。
緑桃樹は、漢方薬の一種で、男性の強力な性欲増強を促す精力剤。
別名『忘我絶倫』
薬に使うのは幹の皮を干し燻したもの。それを煎じて飲むが、けっこう強烈なえげつない味がする。しかし、効果は高い。
緑桃樹は木から緑色の液が取れ、それが桃に似た香りがすることから、そう呼ばれる。
その液をそのまま飲むということは、聞いたことがない。燻した幹の皮でさえ、強烈な味がするのだ。原液なんて間違っても口にはしない。
しかし、蘇芳が食べてしまったこれは。
「おそらく、原液。しかも生。」
食わなくてよかった。と安堵しつつ蘇芳をみる。自分が仕掛けたことだが、なんだか気の毒になり申し訳なくなってしまった。
緑桃樹は、女性が食べるものじゃない。
忘我絶倫の名からも察しがつくように、立たぬ男が立つために食う代物。
男でもよほどのものでなければ、使わない
そして女性にとっては、何の得にもならないただくそ不味いだけの食い物だ。
付け加えて、蘇芳にはかなりキツい代物だろう。
何せ、蘇芳は鼻が利きすぎるのだ。
それこそ、動物並の嗅覚があるらしく、毒の臭気に敏感に反応する。
ある意味、使えるが、それが弱点でもある。
「災難だったな、蘇芳。お前には、緑桃樹の強い香りは毒。不味い上に急所を直撃されて気絶したわけか。」