貴方の事を奪いに来たの。
「あ、諒。遅かったね。」
「ん、ちょっとな。」
「あれ?七瀬さんも一緒だったんだ?」
部室に向かうとタイミング良く出くわしたのは
同期の直江 和正(なおえ かずまさ)くん。
佐伯くんと中学が同じで2人は仲が良い。
「下駄箱で偶然会ったんだよ。」
「へー、とか言って怪しいね。」
と笑顔で言ってあたしと佐伯くんを交互に見る直江くん。
そんな直江くんを佐伯くんが無言で睨むと
苦笑いをしながら、冗談だよ、と言った。
「御免ね、七瀬さん。気悪くした?」
「え、ああ、大丈夫!」
「七瀬、こいつのドリンクにレモン汁でも入れとけ。」
佐伯くんがそう言うと、それこそ冗談キツいよ、と直江くんは笑っていた。