貴方の事を奪いに来たの。
「あの、望月先輩…この方は…?」
「ああ、今年卒業したマネージャーの…えっと、七瀬先輩!」
「七瀬…先輩…。」
女の子はあたしの名前を何か確認するように呟く。
あたしはその事を疑問に思いながら、初めまして、と
挨拶をすると、女の子も笑顔で初めまして、と言った後、
「龍之介先輩とお付き合いしてます、坂本(さかもと)です。」
そう言った彼女は笑顔だが、
目には少し涙を浮かべている。
その事に疑問を感じたが、それを聞けるほど
今のあたしには精神的余裕はない。