貴方の事を奪いに来たの。


気まずい雰囲気が漂っていると、

アップを終えた2年生の子達が帰って来た。







「百合さーん!今日どれくらいまで居れるんですか⁉︎」

「あ、えーっと、御免、用事あるの思い出しちゃって…」

「え⁉︎そうなんですか⁉︎」






だからすぐ帰らないとダメなんだ、と

あたしは貼り付けた笑顔で嘘をつく。

それを見た望月くんは何か言いたそうな顔をしていたが

また来てくださいね、とだけ言った。

きっと望月くんは龍之介くんから

何かしら聞いているんだろう…。

あたしは皆に、じゃぁまたね、と告げてその場を後にした。



龍之介くんともっと話したかった。

でもこの状況で笑って話せる自信がない。

少しは覚悟していた、龍之介くんに彼女が出来る事に。

でもその彼女を目の当たりにする事は全く考えていなかった。

思ったより、結構ショックが大きいかも…。




< 103 / 128 >

この作品をシェア

pagetop