貴方の事を奪いに来たの。
気まずい雰囲気が漂っていると、
アップを終えた2年生の子達が帰って来た。
「百合さーん!今日どれくらいまで居れるんですか⁉︎」
「あ、えーっと、御免、用事あるの思い出しちゃって…」
「え⁉︎そうなんですか⁉︎」
だからすぐ帰らないとダメなんだ、と
あたしは貼り付けた笑顔で嘘をつく。
それを見た望月くんは何か言いたそうな顔をしていたが
また来てくださいね、とだけ言った。
きっと望月くんは龍之介くんから
何かしら聞いているんだろう…。
あたしは皆に、じゃぁまたね、と告げてその場を後にした。
龍之介くんともっと話したかった。
でもこの状況で笑って話せる自信がない。
少しは覚悟していた、龍之介くんに彼女が出来る事に。
でもその彼女を目の当たりにする事は全く考えていなかった。
思ったより、結構ショックが大きいかも…。