貴方の事を奪いに来たの。
うん、と微笑んでいうと、
皆喜ぶんで早く行きましょっか、と言った後
あたしと望月くんは並んでグラウンドに向かった。
グラウンドに行ってあたしの顔を見ては
嬉しそうに寄って来てくれる3年生達に差し入れを渡す。
皆はあたしより差し入れに夢中になり
あたしは1人でポツンとなっていたが
皆の嬉しそうな表情を見てあたしは嬉しくて微笑んでいた。
でもその皆の中には龍之介くんは居なくて、
何処に居るんだろう、と思い辺りを少し見回すと
マネージャーの坂本さんと目が合った。
しかしすぐにフイっと視線を反らされてしまった。
…やっぱ差し入れとか厚かましかったかな…
そんな事を少し思いながら龍之介くを探すため
控えめにキョロキョロ辺りを見回していると、
「龍は部長会議なんっすよ。」
「あ…そうなんだ…」
あたしが周りを見ていただけで
龍之介くんを探してるって分かるなんて
やっぱり望月くんは龍之介くんから何かしら聞いているのだろうな…。