貴方の事を奪いに来たの。
---夏。
1学期も終了し夏休みに入り、真っ只中。
燦々と太陽が照りつける中、部活に励んでいた。
「百合ちゃん大丈夫?キツかったら休んでていいよ?」
「いえ、大丈夫です!」
「無理しないでね!?」
あたしよりもせっせと働きながら
雪乃先輩はあたしの心配をする。
絶対雪乃先輩の方がしんどいのに…
「休憩ー!水分補給忘れんなよー!」
「「うぃーす」」
部長の号令が響き渡った後、
百合ちゃんは1年生の皆にドリンクお願いね!
と言って雪乃先輩は2年生の分のドリンクを持って走って行った。
「はい、これ佐伯くんの。」
「ん、さんきゅ。」
「百合ー、おれのはー?」
順番に1年生の皆にドリンクを渡していると
横から入って来る片岡(かたおか)くん。
「順番に渡してるから、ちょっと待ー」
「えーいいから、おれの頂戴よ、百合ー。」
入部した頃から片岡くんは自己中心的と言うか、
自分を優先的にさせようとする事が多々あった。