貴方の事を奪いに来たの。
あたしの言葉を聞いて驚いた顔をする龍之介くん。
その顔を見てあたしは自分の言った発言に少し恥ずかしくなって下を俯く。
しかし、もうここまで言ってしまえば
あたしが思っている事を全て言えばいい。
そう思い、あたしは口早に
「彼女がいるって分かってる、でも龍之介くんの事、好きなー」
あたしが全てを伝えるより先に
あたしは彼の腕の中に包まれる。
目の前には龍之介くんの胸板があって…
「貴方が好きです。」
自分の真上から降って来る言葉は幻聴だろうか。
そう思って何も答えずにいると抱き締められていた身体が少し離れる。