貴方の事を奪いに来たの。
「皆に迷惑かけてるって分からないの?」
「え、百合…」
「百合って呼ばないで!」
あたしは大声をだしながら、
無我夢中で片岡くんに詰め寄っていた
「前から言ってるよね、名前で呼ばないでって。」
「それは、照れ隠しー」
「そんなわけないでしょ⁉︎」
「な、七瀬…落ち着け…」
先程までイライラしていた佐伯くんは
今のあたしを見て冷静、というよりも
落ち着かせようとあたふたしている。
そんな佐伯くんの制止を無視し、
「本当に迷惑だし、好きな人以外に名前を呼び捨てにされるなんて虫唾が走るのよ!」
「え…」
「もう絶対に呼ばないで。」
片岡くんに喋らせまいとあたしは口早にまくしたてた。
隣で見ていた佐伯くんは、ポカンと口を開けて呆然としていて
言い詰められた片岡くんは驚きと
何も言い返せないのか視線を彷徨わせている。
他の部員も少し離れてるとはいえ
あたしが結構大声で言った為周りはシンっと静まり返っていた。