貴方の事を奪いに来たの。
1年生を指導しながら皆の方はどうなってるかと
チラリと様子を見てみると…。
あれ…さっき、あんな子居たっけ…?
鋭い視線で熱い眼差し。
真剣にサッカーに取り組んでいる子に
あたしは釘付けになっていた…。
さっき1年生全員の前に立った時には
あんな眼をしている子なんて居なかったのに…
「やっぱり、加藤は上手いなぁ。」
「先生…。加藤って…?」
「ほら、赤ゼッケンの6番。」
本メニューをこなしている皆の方を見ながら顧問の先生が言ったのは
さっきあたしが釘付けになった子の事を指していた。
聞けば、小学生からサッカーをやっていて中学生の時も上手いと有名だったらしい。
そんな顧問の先生の話を聞きながら
あたしは、まだ、彼から目を離せなかった。
ーーそれが、あたしと彼の出会い。