貴方の事を奪いに来たの。
そしてあの眼が、家に居る時も授業中も
決してあたしの頭から離れない。
これはやばい、と思い考えないようにすればするほど
彼の眼を思い出す。
分かっている、これは明らかにあたしの中に彼が居る。
好きな人なんて…とか考えていた自分は何処にいったんだ…。
こうも容易く、オチてしまうなんて。
「じゃぁ、一旦休憩ー!」
佐伯くんの合図であたしは、はっとした。
皆の分のドリンク配らなきゃ…!
あたしは考えるのを止め、せっせと働いた。
3年生と2年生の分を配り終え、
後はボトルを渡してくれている1年生の分だけだ。
その中には、勿論彼の分もあって…。
どうしよう…龍之介くん…?
いやでもそんな急に馴れなれしいよね。
あたしみたいに下の名前で呼ばれたくなかったら…
加藤くん…。いやでも龍之介くんって呼びたい…
そんな事を心の中で葛藤していると。