貴方の事を奪いに来たの。


そしてあの眼が、家に居る時も授業中も

決してあたしの頭から離れない。

これはやばい、と思い考えないようにすればするほど

彼の眼を思い出す。

分かっている、これは明らかにあたしの中に彼が居る。

好きな人なんて…とか考えていた自分は何処にいったんだ…。

こうも容易く、オチてしまうなんて。







「じゃぁ、一旦休憩ー!」







佐伯くんの合図であたしは、はっとした。

皆の分のドリンク配らなきゃ…!

あたしは考えるのを止め、せっせと働いた。

3年生と2年生の分を配り終え、

後はボトルを渡してくれている1年生の分だけだ。

その中には、勿論彼の分もあって…。



どうしよう…龍之介くん…?

いやでもそんな急に馴れなれしいよね。

あたしみたいに下の名前で呼ばれたくなかったら…

加藤くん…。いやでも龍之介くんって呼びたい…

そんな事を心の中で葛藤していると。



< 46 / 128 >

この作品をシェア

pagetop