貴方の事を奪いに来たの。
「あの、ドリンク貰っていいですか。」
「あっ!はい!龍之介くんの分!」
急に声を掛けられ咄嗟に出てしまった言葉に
あたしは固まった。
やってしまった…色々考えてたら口からポロっと…
「ありがとうございます。」
あたしの考えている事を知る由もない彼は
サラッとお礼を言って行ってしまった。
えっと…、別に気になってない…感じかな…?
それとも、もしかして、気付いてない…とか…?
そ、それはそれで…傷つく…。
少しショックを受けながら他の1年生の分を配り終えた後、
彼をチラリと見てみるとそこには
無表情で生気のない眼をしながらドリンクを飲んでいる姿が目に映る。
彼の眼が熱くなくても、
あたしの視線の先には彼が居る。
もうこれは完全にダメだ…。
明日から本入部、あたしやっていけるのかな…。