貴方の事を奪いに来たの。


「あの、先輩」

「あ、御免!ありがとね!」







耐えきれなくなったのか、龍之介くんは少し困りながら

また声を掛けたのであたしは、はっとした後、

返事をして龍之介くんの手元の段ボールをサッと取った。

これ以上顔が赤くなっているのを見られたらバレる…!

そう思いあたしは部室を足早に出ようと思ったが

入り口の所で足を止め、







「ありがとね!先行くね!龍之介くん遅れないようにね!」







恥ずかしくて目を合わせず早口にそう言って

あたしは小走りでグラウンドに向かった。

本当にびっくりした…。

あんな近くに龍之介くんが…そう思い先程の事を思い出しては

また顔が熱くなった。



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