貴方の事を奪いに来たの。
でも佐伯くんにバレてるって事は、
他の部員にもバレてるって事だろうか…。
いやでも、一番バレてもおかしくない彼は
全く気付いてないよね…。
「あたし、そんなに分かりやすい…?」
「ん?まぁ、見てたらな。」
「そうなんだ…」
「まぁ、俺以外は気付いてないと思うぞ。」
佐伯くんの言葉にあたしは、本当に⁉︎、と食いついた。
あたしの食いつきにびっくりしながらも、
多分な…と佐伯くんは答えた。
「まぁとりあえず、好きな奴出来て良かったな。」
「う、うん…」
「龍之介、鈍感そうだから頑張れよ。」
そう言って、佐伯くんは優しく微笑んだ。
恥ずかしいけど、やっぱり誰かに応援してもらえるのは嬉しいな…。
そう思いながら、あたしと佐伯くんは自分の作業に戻ったーー。