貴方の事を奪いに来たの。
8月
ーー高校3年生 8月。
夏休みに入り真昼間、強い陽射しが照りつける中
来週ある大きな大会に向けて練習に励んでいた。
皆しんどそうだが弱音を吐かずに頑張っている。
この暑さは3年目で少し慣れたとはいえ、
やはり厳しいものはある。
でもこの暑さも今年で最後で、
来週ある大会が終わってしまえば、あたし達3年生は引退する。
そうすればもう部活に来る事もない。
…龍之介くんと会える理由が無くなる…
そんな事を皆の練習を見ながら考えていると
佐伯くんの休憩の合図が響き渡った。
あたしは急いで皆にドリンクを配り、
体調悪い人が居ないかを確認して回った。
とりあえず、皆大丈夫そうかな…
ドリンクを配り終えたあたしはそう思い、
空になったボトルを洗う為、水道に向かった。
水道に来てみればそこには顔を洗っている龍之介くんの姿があった。