貴方の事を奪いに来たの。
いつものような生気の無い眼ではなく、
真剣な表情で、あたしの大好きな眼で伝えられたその言葉は
分かっていたとはいえ、結構辛くて、
「そ、そうだよね…。」
そんな言葉しか出ないあたしは、俯いた。
泣くな、泣くな。
そう思いながらあたしは、ありがと、と振り絞りながら声を出した。
「…先に戻ってます、部長に少し休憩してるって伝えておきます。」
そう言って龍之介くんは洗い終えたボトルを持って立ち去った。
…気を遣わせてしまった。
あたしの気持ちには気付かないのに、
こうゆう時はすぐに理解して優しくするんだ。
あたしはそんな事を思いながら、
立ち去って行く龍之介くんの後ろ姿を眺めながら、涙を流したーー。