貴方の事を奪いに来たの。
10月
ーー高校3年生 10月。
部活を引退してから約2ヶ月。
引退してから龍之介くんとは喋ってないのは勿論、
引退する前も、告白して以降挨拶以外は何も喋らなかった。
と言うよりも、どんな顔をして話せば良いのか分からず、
あたしが避けた結果がこれだ。
振られてキッパリ諦めるどころか
もっともっと龍之介くんの事が頭から離れない。
「あ、あれ百合の彼氏じゃない?」
「…いないよ。」
テスト前という事で自習時間という名の自由時間に
日菜子は窓際のあたしの席の前に座って
グラウンドを指差したので、
そちらをチラリと見てみれば1年生が体育をしている姿が見えた。
もしあの中に龍之介くんが居ても、
彼はあたしの彼氏じゃないんだ。
そんな事を考えながら日菜子に返事をすると不服そうな顔をされた。