貴方の事を奪いに来たの。
「何ー?暗いんだけど?」
そう言い、また日菜子はグラウンドに目を向け、
ほらあれ、やっぱそうじゃん、と指差した方向には
確かに、愛おしい龍之介くんの姿があった。
日菜子には告白をした事をまだ伝えてない。
何回も言おうと思ったが話そうとすれば
あの光景を思い出して泣きそうになるので言えなかった。
「日菜子、実はねーー」
今日ならなんとなく、泣かずに伝えられる、何故かそう思ったあたしは
夏休みに気持ちを伝えた事を日菜子に話した。
日菜子は聞き終えた後、驚いた顔をしていたがすぐに不服そうな顔をした。
「何でそうゆう事をすぐに話さないかなぁー。」
「ごめん…」
「まぁ、いいけどさぁ…」
そう言ってそれ以上日菜子は責めてこなかった。