貴方の事を奪いに来たの。
「知ってたら協力してたんだけどね。」
と笑顔で言う直江くんを見て、
絶対直江くん知ってたら、本人にあたしの気持ち言うでしょ…
と心の中で思ったが口には出さなかった代わりに
ありがとう、とだけ伝えた。
「まぁ、頑張ってね。」
「うん…」
「どんな手を使ってでも自分の近くに置いておけばいいんだよ。」
いつもと違った雰囲気で言った後、
じゃぁ僕は帰るね、といつもの雰囲気に戻って進路指導室を出て行った。
何だったんだろう、今の意味深の言葉と雰囲気…。
そう思った後、一度自分の持っている資料に目を落としたが、
すぐにグラウンドに目を向けてしまう。
散り散りになっている部員の中で
すぐに彼の姿を見つけ、暫くの間眺めていたーーー。