貴方の事を奪いに来たの。


あ、そう言えば皆色紙貰ってるけど…

やっぱりマネージャーだからあたしは無しかな…

と少し寂しく思っていると、







「七瀬先輩。」

「あ、龍之介くん。」







呼ばれた方向を見てみるとそこには、

愛おしい龍之介くんの姿があった。

声を掛けてもらった事が嬉しくて、あたしは自然と笑顔になる。

良かった、避けられなくて…







「卒業、おめでとうございます。」

「あっ!色紙…貰えないと思ってた。」






龍之介くんの手から、七瀬先輩と大きく書かれた色紙が差し出された。

やっぱり、皆が書いてくれたメッセージを貰えるのは嬉しい。







「3年の皆色紙貰ってるのにあたしだけ無いのかと思っちゃった!」







そう笑いながら言うと龍之介くんもふわりと微笑んでくれた。

良かった、気まずい顔をしないで笑ってくれた。

でも、今日が…喋れるの最後なんだな…。


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