貴方の事を奪いに来たの。


1、2年生とのお別れの挨拶が終わり、

あたし達3年生は部室を後にした。

じゃぁ解散!と佐伯くんの合図にあたし達は散り散りになった。







「七瀬はすぐ教室戻るか?」

「うん、佐伯くんは?」

「俺も。…あ、悪い、やっぱ後で戻るわ。」

「え?ああ、分かった…」







あたしの返事を聞いた後、

じゃぁ元気でな、と変わらない爽やかな笑顔で言った。

佐伯くんが走って行った先には、女の子が居て、

あっ、あの子…前に佐伯くんが廊下で話してた子だ…

何だ、やっぱり付き合ってるんじゃん…

と少し羨ましくなって心の中で悪態をついた。

皆、青春だなぁ…そう思いながら

あたしは日菜子の待つ教室に小走りで向かった。



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